リアル

 ここまで多くの映画のレビューをしてきたが、そのお陰で多くの素晴らしい(そして面白い)知り合いとも出会えた。そしてそこで色々話をしていくと、いくつか目立ったキー・ワードに出会えた。その一つに「映画的リアル」というものがある。
 映画におけるリアリティとは何だろうか?つかめるようでつかみにくい言葉だ。「これはリアリティがある」と自分で思ったとしても、具体的に説明するのは難しい。
 こういう場合、自分なりに分析的に考えてみよう。
 まず映画というものの位置づけ的に考えてみる。映画に限らず創作物は私たちがリアルとして相対している現実とは違った位置にある。誰かの頭の中で考えられ、創作という過程を経て我々の目に映る物である。淡々と日常を描く作品も中にはあるけど、基本的にそこには凝縮されたドラマというものが存在する。日常生活ではそう味わうことが出来ない、又は一生巡り会うこともないだろうドラマがそこには演出されるわけだ。当然それに至る人間の一生というものも本来はあり得るのだが、映画というのは切り出した時間だから、キャラクターには背景がない。よって、その時間内に必要な、作られた背後の時間を説明することになる。
 リアリティとは先ずそこにある。