路傍のピクニック 

   突如世界各地に出現した“ゾーン”という空間。この世の物理法則を無視し、人間にとっては極めて危険な空間ではあるが、そこから持ち帰ったものは人類の科学発展に大いに役立つものが多いため、危険を冒してゾーンに入り込む人間は後を絶たなかった。その危険なガイド役であるストーカーと呼ばれる彼らの、ゾーンへの旅を描いた作品。

 「路傍のピクニック」あるいは「道端のキャンプ」という名前でかつて知られていたが、タルコフスキーの映画のお陰で「ストーカー」で統一されたらしい。

 期間にして10数年という時間の、人類とゾーンとの関わりを背景に、レドリクシュハルトというストーカーの活動を中心に描く作品。ゾーンと関わってしまったがために様々なやっかい事を背負い込んでしまう男の物語が展開。ほとんど個人レベルの視点で話が展開するため、どう世界が変わったのかがあまり描かれてはいないのだが、このラストの皮肉は、SFの名作と言われるだけのことはある。SFファンだったら、ラストで呆然とするか、あるいは大笑いしてしまうことだろう。

 タルコフスキーの映画版の方は原作とは大幅に違っていて、ゾーンでは何が起こるか分からないという事と、ストーカー(原作のレドリクシュハルト)の家族描写以外はほぼオリジナル作品。あれはあれで凄まじい作品ではありました。私の★★★★★作品です。

「みんなハッピーにしてやる。しかもタダだ。誰もブルーなままじゃ帰さないぞ!」

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