暗喩

 ロメロ御大の『ダイアリー・オブ・デッド』は4月に発売だそうですが、ロメロがリビングデッド作品を作るのは、社会的な義憤を覚えた時だとはよく言われてます。『ナイト・オブ・リビングデッド』ではヴェトナム戦争アメリカ人がヴェトナム人を殺しているという報道から、『ドーン・オブ・ザ・ベッド』ではアメリカの消費文化を、『デイ・オブ・ザ・デッド』ではレーガン政権下での軍備拡張に対する批判だったそうですから。4作目の『ランド・オブ・ザ・デッド』はそのままイラク戦争の暗喩になってます。さて『ダイアリー・オブ・デッド』は何の暗喩なんでしょうね?観てないから何とも言えないけど。

 それでビデオで観た『ゾンビーノ』の事を思い出しました。2006年に作られた新しい作品ですが、これも明らかなロメロ先生の影響下で作られた暗喩に溢れた作品です。
 物語としてはゾンビ大戦と呼ばれた人間とゾンビの戦争後10年経って、コロニーを作った人間はゾンビ達をペットのように飼い慣らしてる。
 …という設定だけで考えると、まるでこれはゾンビが日本人のことを指しているようで、なんか嫌な気分にさせられましたが、後で監督がカナダ人だとして腑に落ちました。なるほどこれは表面的に平和で消費文化を謳歌してるアメリカ人に対する嫌味なんですな。SFやホラーは、こういったダブルミーニングを見つけるのが楽しいです。

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