屍鬼 一 (著)小野不由美 

 未だに土葬の習慣の残る、森に囲まれた外場村。外界から隔絶したこの村に、一軒の家族が引っ越してきた。その時以降、この村に徐々に死が迫って来た。この現状を目前に、兼業小説家の住職静信と、村一軒の医者敏夫は何らかの解決を探していくが…

 実は随分前に1〜2巻は読んでいたのだが、日常描写部分ばかりで今ひとつと言う印象でしかなかった。それで何年か経過して、ついこの前3巻目を読んだ途端、評価がまるで変わってしまった。それで振り返って1巻からレビューし直してみよう。

 一巻目の本作は、とにかく全編が日常描写のみで展開する。ここまで徹底的に、長々と日常描写だけやる作家なんて日本には滅多にいない。類型を求めるなら、やっぱり海外。結局キングくらいだろう…と思ったら、本作の副題って「To 'Salem's Lot」(邦題「呪われた町」上)…なるほど。キングへのオマージュかたっぷり含まれてるってことね。