方法序説
方法序説
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デカルト Ren´e Descartes 谷川 多佳子
岩波書店 (1997/07)

 スコラ哲学者であり、数学者、解剖学者と多彩な才能を持つ著者が、自らの思索の末に到達した“精神”の確立を宣言した作品。本作こそが近代思想のベースとなり、今日の学問の基礎を築くこととなる、重要な作品。

 哲学史における、一つの時代の終焉と、新しい時代を高らかに宣言した作品と言うことになるはず。しかしその概念は、実は全てたった一言「cogit ergo sum」で示されてしまうという事実。他に色々書いてはいるけど、実はデカルトの到達した点というのは、「人間である限り、確実なものなど他に何一つ無い」という事だけしか言ってないのだから。そのネガティヴさを受け入れることで、人間は近代思想を展開させることが出来るようになったのだろう。