斜陽
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posted with amazlet on 05.10.22
太宰 治
新潮社 (1987/00)
売り上げランキング: 21,201

 大戦が終わり、平民に戻されてしまった元華族の“わたし”。これまで何事も母を手本として貧しい生活にも耐えてきたが、その母が病気となり、容態も芳しくなくなってきた。更にこの貧乏な生活の中、弟がぐれ出していく…時代の中で生きていく女性を描く作品。

 これは一種、太宰文学の最高作と言えるかも知れない。世の中には“このようにしか生きていけない”人間というのは確かに存在し、著者は常にそのテーマで小説を書いてきた訳だが、それを複数の人間を主軸とするとは、見事な描写の仕方だった。そう言えば大学の時以来ほんと久々に太宰なんて読んだよ。