月の開発が一段落し、月が観光地化された時代。22人の乗客を乗せた観光船セレネー号は渇きの海を航行中、突然の地盤沈下を受けて塵の下に埋まってしまった。月の砂漠の奥に埋まった船からいかにして乗客を助けるのか。そして船の中の混乱をいかにして抑えるのか。様々な見地からこの救出計画を描いた作品。

 SF作家との相性という意味では著者が一番しっくりくるが、予想に違わず実に読み応えがあり、楽しい作品だった。まあアポロの月面着陸の前に書かれた作品だから、月が塵に覆われているというのは現実とは異なるのだが、SF作品としての完成度とは全く関係なし。しかしこの邦題は最高だな。原題よりもはまってるよ。