とり・みきの映画吹替王 (洋泉社MOOK)
 戦後、特にテレビの普及に伴い数多く輸入された海外ドラマシリーズ。これらは吹き替えによって日本に紹介されたが、その当時から現代に至るまで活躍し続けているのが吹き替え俳優。いわゆる声優の存在だった。吹き替え映画の大ファンである著者が、特にヴェテラン声優を中心に対談した模様を描いた作品。

 我々は普通に「声優」と言っているが、これはかつてはコンプレックスを喚起する言葉であり、一種の蔑称とも言えるものだった。これを芸として研ぎ澄ますまでの苦労と、声優一人一人が行っている役作りなど、話題は多岐にわたり、著者が子供の頃の思い出も多数登場。読んでいてなかなか楽しかった。海外俳優に決まった声優が声を当てるのがフィックスと言われているのもこれで初めて知ったし。