9本目

 今村昌平監督の『黒い雨』鑑賞。これまで観た日本の原爆を描いた作品の中では最も素晴らし出来でした(あ、『ゴジラ』は別にして)。今年9本目の★★★★★作品となりました。
 この作品、真面目な作品でありつつ、今村監督らしい重喜劇調に仕上げられているのが特徴ですね。同じ井伏鱒二原作の「遙拝隊長」も入っていて、その辺で喜劇調に仕上がってます。原作は都会の話だったのをわざわざ田舎に持っていったのも、今村監督らしさかな?
 原爆を扱った作品は『はだしのゲン』みたいに真っ正面から怖さを描く作品よりも、こういったコメディ調にした方が遥かに怖さを感じる気がします。
 カコヤニス監督の『魚が出てきた日』なんかはその最たるもの。ラテン系の陽気さと恐怖とが巧くつながってます。日本だと黒澤監督の『生きものの記録』も最高の作品。近年では『東京原発』も面白い…って、結構良い作品って多いのかな?
 コメディとして笑わせつつ、ぞっとさせてくれるブラックジョーク作品は、私にとってもツボのようです。
黒い雨